頒布物の利用申請機能「ピアプロリンク」

エンドユーザーの権利

クリプトン・フューチャー・メディア株式会社のVocaloidの「エンドユーザー使用許諾契約書」には、以下の記述があります。

第3 条(別途使用許諾が必要な場合)
お客様が合成音声を以下の各号の目的又は形態で使用する場合には、別途の使用許諾が必要となり
ます。そのような追加の使用許諾契約が必要な場合は、必ず事前にクリプトン・フューチャー・メ
ディア株式会社までお問い合わせ下さい。なお、使用形態によっては、追加ライセンス料が発生す
る場合があります。
(1) 商用カラオケでの使用
(中略)
(2) 電話/携帯電話着信音等の商用目的での使用
(中略)
(3) 映像作品での使用
映像作品(アニメーションを含む)内の人物やキャラクターが歌ったりパフォーマンスして
いると取れるような態様で合成音声を使用する場合。
(4) 商品への表示
本製品のタイトル(「初音ミク」)、“VOCALOID”、“ボーカロイド”、“バーチャル・シンガー”、
“ バーチャル・アーティスト” その他これらに類する表示(以下「契約表示」といいます)
が歌手、アーティスト、楽器名その他何らかの形でクレジット若しくは表記されている商品、
その包装や宣伝物等に契約表示が記載されている商品、又は映像作品のエンドロール等消費
者に認識される形態で契約表示が含まれている商品に、合成音声を使用し、これを商業的に
使用、譲渡又は配信等の利用をする場合。

原文(PDF注意、初音ミクのもの)→●


アーティスト名として初音ミク等を勝手に使っちゃだめだよ、程度かと思っていたら、(3)にあるように「絵と声を結びつける行為」がそもそも駄目だという規約なんですね。つまり、厳格に通せば、今のブームを作っているものの大部分が消えてしまうような規約です。



ゲームや音楽はどこでも大抵こんな感じになっているはずで、同人作品だからというグレーゾーン正義を通して今までやっていたわけです。
このグレーゾーン状態が個人的に大嫌いでした。二次作品としてすばらしいものがいっぱいあるなか、グレーはOKというところを利用して、企業のロゴをそのままグッズにして売るような「ただの権利侵害」だとか、公序良俗に反するようなものも堂々と「同人だからOK」みたいにやっているところだとか、そのへんが槍玉にあがって規制騒ぎが出る、なんてのが一例。

本題のピアプロリンク

さて、本日クリプトンから新しい動きがありました。
頒布物の利用申請機能(ピアプロリンク)を公開しました
長くないので原文読むことをお勧めしますが、概要は以下。

ガレージキットの当日版権システムをもっと簡単にしたような、ネット上で申請するだけの簡単な仕組みを用意いたしました。これにより以下のメリットが生まれます。
 ・頒布物に対する公認の黙認
 ・無断頒布でないことの表示
 ・申請手続の迅速化

申請料金はかかりませんが、利益が出たときは売上げの一部をピアプロ運営費に寄付いただけるようお願いします。


これはすばらしいと思います。あとポイントになりそうだと思われるのは
・「許諾印」が価値を持つようなコミュニティとして成長していけるかどうか
・寄付システムをどう具体化するか


寄付は金額より手間が問題なんだと思います。
何か課金サービスをすでに持っている企業なら楽でしょうが、クリプトンはおそらく箱売り商売がメインで、ライセンス決済のシステムなんて持ってませんよね。