ダビマスを遊び終えての振り返り

2016年11月にリリースされたスマホダビスタダービースタリオン マスターズ。3月頭まで4か月ほどプレイして引退しました。せっかくなのでレビュー的なものを書き残しておきます。

最近のダビスタはどうなっていたのかという話

ダビマスの話をするまえに、ダビスタというシリーズがどのように死んでいたのかに軽く触れておかねばなりません。
ダビスタの全盛期はSFCからPSにかけてのあたりでしたが、その話は遠い昔なので置いておきましょう。最も最近のダビスタは、前年(2015年)12月に出たダビスタGold。これがもうとんでもない出来でありまして。一発でゲームを殺すクラスの問題が、少なくとも2つありました。

  • 道中外枠の馬がどんどん下がっていき、距離が長いと滅茶苦茶になる
  • オンライン対戦に登録すると、能力がすべて0になる

1つ目は、FC版から熟成されてきた道中進行アルゴリズムの破綻です。道中が内中外の3列までしかないときはまだ遊べていましたが、それ以上は無理がありましたね。3000mを越えるような距離では、1枠の追い込み馬が4角先頭から怒涛の追い込みをするのに対して、8枠の逃げ先行馬が最後方からもっさり逃げ粘りの脚を…(無理) 薗部氏は、少ないパラメーターでそれっぽい動きを作り出す天才ゲームデザイナーです。当時はプログラムを書いていたとはいえ、今となってはスーパープログラマーではないと思います。20年前には戦えていた技術をちょっと直して現代の普通レベルを目指したら、当然無理だった、ということかなと。ゲームAI関係では進路選択(ルート検索)にも問題があり、直線詰まりまくりです。

2つ目は、オンラインゲームとしてはこんなひどい話を聞いたことがないすごいもので、凱旋門賞馬でも未勝利馬でも、登録すると能力同じ。能力0になっているから、時計はクッソ遅いし、たまに出てくる準GIクラスのCPU馬に大差でぶっちぎられる。そして、枠順で結果が決まります。若干外枠に伸びのプラスがかかるのか、スプリントでは外枠が有利、1600m以上は前述の問題により圧倒的内枠、でした。腹立って、辞める前に数えてやろうと頑張った結果が以下。1〜3着馬の枠番と人気をひたすら記録し、平均値を表にしたものです。

1着枠 2着枠 3着枠 1着人気 2着人気 3着人気
1600m以上 2.3 3.0 3.8 7.5 8.0 8.5
2000m以上 2.0 3.1 3.5 6.9 6.8 8.6

まず上位は内枠に偏っているし、人気はほとんど関係なくランダムに来ているのです。上の着順のほうが若干値が低い(=人気が高い)のは、ハンデ戦が混ざっていたからですが、もうどの番組がハンデ戦だったか調べる気力がない…。確実に勝率を出す唯一の方法は、実績のない馬をハンデ戦に出すことでした。重量が軽い馬は何も考えていない並の重量の馬をぶっちぎれますので。ただ大半の別定戦では完全にランダムなので、15〜18頭立てのちょうど半分くらいの値が出ています。
いや、平均じゃなくて割合を出すべきでしたね。1600m以上のレースにおける1着枠番(青)・2着枠番(赤)・3着枠番(橙)です。整形を手抜きしたためX軸の並びもラベルも変ですが、左から1枠[青1着%,赤2着%,橙3着%]、2枠[青1着%,赤2着%,橙3着%]…で8枠までのデータがあります。1枠は極端に1〜2着に収まるため、3着になると1枠が少ないのです…!

信じられんでしょ。フリーズが多いことが些細に思えます。これが、ここまでの21世紀のダビスタでした。

ダビマスのレースシーンはどうだったのか

こりゃ次回作が出ても大きく改善はないなと諦めていたところに、パリティビット主導「ではない」ダビスタの登場です。画面やシステムはかなり伝統のダビスタを踏襲していますが、レースはもうほとんど別物を出してきました。それがすぱっと合格点を出してくれて、なんと有難いことか!ダビスタニンテンドー64版あたりから急激に凋落していったため、「今世紀初のまともなダビスタ」と位置付けても怒られないのではないでしょうか。(ドコモの携帯にプリインストされていたダビスタは、スタンドアローンながらも相当遊べたのだけど、広く入手できるものではなかったので除外するとして)

課金体系

ダビマスは、スタミナシステムがあるのでそこでお金が必要なのかと思っていましたが、ほのぼの遊んでいる分には到底スタミナを使い切れません。社会人が割と頑張ってプレイしても、一回も自然回復を使い切れませんでした。最強馬生産のために、特定の繁殖牝馬を求めてカレンダーをずんずん進める場合には、お金がかかるかもしれませんが。
課金要素のメインは、種牡馬の入手・種付け権の確保です。☆1〜☆5まであるうち、☆4の大半と☆5はガチゃ産。運よく☆5を引き当てても、1回使えば消滅するので、無限に永遠に金がかかります。えげつない!まあでも、ゲーム内最強クラスは☆1からでも出せます。そこはダビスタ

BC

BCは常時開催されていて、結果によってお金や種付け権が得られるので…というより、この収入が無いと日々の牧場運営が成り立たないバランスなので、だいぶ盛り上がっていました。馬体解析という、馬の能力値を判定する機能が1回2億円かかるので、ゲーム内賞金ではどうにもならんのです。そういう若干ネガティブな出走理由もありますが、とにかくメジャーなコースなら朝方でもフルゲート埋まるくらい盛況でした。本来、BCはダビスタの生命線ですしね。
ただ、遊び始めてすぐにびっくりするのが、BC登録馬を保持する枠が5個しかないこと。これで全距離の登録馬を管理できるはずもありません。ましてや、父限定戦やダート限定戦なんてとんでもない。そのあたりまで存分に楽しむには、最低でも15、課金で30とか50とか増える…というくらいは必要ですが、5枠どころか本当は「3枠限定、課金で最大5枠」の計画だったとか。ここは、ダビマス運営がBCの遊び方の理解を大きく外していたところです。おそらく、前世紀・全盛期に、NiftyServeやインターネット上で多数開催されていた、ユーザー開催のBCで遊んだ人ではないのでしょう。各条件でエース候補を確保した上で、入れ替え候補を登録するための枠、さらに繁殖入り牝馬の比較のための枠が実用的には必要です。また、本当なら思い出の名馬やレアな白毛馬も残しておきたいことでしょう。そういった「普通の運用」で想定されるケースから桁違いに外してしまうというのは、想定する遊び方のイメージが大きくずれているということであって、今後も大きく不安が残る点です。

イベントBC…

BCが不便ながらも盛り上がっていたのに、定期的に水を差していたのがイベントBCでした。平常時が上手く回っていて、イベント時に不満がたまるゲームって珍しいな。イベントBCは「特殊仕様のBC+豪華賞品」なので、どんなにつまらなくてもそちらに出走し続けるしかなくて、結果常設のBCは回らないのです。

公式BC枠事件

第一回公式BCには3頭まで出走可能!でした。それはいいのですが、なんと「一度公式BCに登録したら何があっても削除できない」上に「敗退しても削除できない」「決勝が終わっても何日も削除できない」というトンデモ仕様でした。前述の厳しいBC枠に加えてこれでは、常設BCは壊滅です。公式BC出走馬を削除して新たにBC登録できるようになるまで、カレンダーを進められない人がちらほら出ていました。うちもです。

いつも長距離

ダビマス最大の謎は、イベントBCが必ず芝長距離で行われていたことです。今作は父の距離適性により産駒の距離適性も厳密に縛られ、範囲外では能力減衰が激しいために、スプリンター・マイラー・中距離・そしてダート馬を作って遊んでいた人にとっては苦痛でした。歯が立たなくても豪華賞品のために出走し続けなくてはならず、一切何も面白くないクリック作業。

マヤノトップガンが発表されたところでもうゲンナリして、未練がなくなり引退できました。企画を立てる側の人間に、ゲーム仕様かあるいは競馬自体を全く分かっていない人が収まっているのかな…。長距離が得意な馬と、短距離が得意な馬がいるんですよ!って誰か教えてあげなかったのでしょうか?他のソシャゲに例えるのなら、イベント戦の有利属性がいつも同じ、という感じです。そんなゲームないじゃろ。つい最近、ようやくタイキシャトルのイベントが開催されるようですが、別企画として発表された「ダビマス王座決定戦」は、4条件中、ダートのチャンピオンズカップ以外の3レースが2400m/2400m/2500m… バカなの?

ダビマスの未来

リリース時から致命的な問題はなく遊べていて、さらにいろいろ並のソシャゲ程度の速度で改善がされているので、アプリケーションの機能的には十分相当高いレベルにあります。やたら一覧性の悪いUIは気になるけれども、そういう細かめのところに目が行くのも、基本機能にあまり問題がないからです。不安があるのはとにかく運営のBCへの理解の怪しさ(たぶんコミュニティBCを遊んだことがない)。昔BCで遊んでいた人からすると、これからも色々引っかかる運用を目にすることになるのでは。
サービス継続性(売上)の観点では、消耗品のため常時お金がかかるシステムであるし、ほとんどリソースコストをかけずにいくらでも新しい種牡馬を導入できるので、非常に安定していて、未来は明るいでしょう。さらに、ダビスタの場合、ソシャゲはやらない(ダビマスしかやらない)という人を抱えているはずであり、息の長いものになるのでは。

自分は引退してしまったけれども、要望を出すとすれば

  • 「BC登録ストック枠50くれ(有料でもいいし出走できる枠を増やさなくてもので)」
  • 「見づらいUI(一覧性の悪い競走成績や種牡馬リスト、ソートされない馬一覧等)をどうにかしてくれ」
  • 「有料でいいから産駒の性別固定アイテムくれ」
  • 「特別調教に確認ダイアログ出してくれ」

です。

総括

ダビスタが好きだった人であれば、それなりに楽しめるのではないでしょうか。イベントが偏っているのも、BC登録数がひどい設定なのも、そのうち…1年経つころには流石にどうにかなっているのでは。
すべてが消耗品であるダビマスの特性上、別に1年後に復帰しても問題なく遊べるはずです。ただ、自分の場合は、積みゲーを消化しきることは死ぬまでないだろうから、まずダビマスに復帰できることはないでしょう…